無線局免許の住所変更
東京都から千葉県に引越しをしたので固定局免の住所変更(住所及び設置場所の変更)をしました。簡単な申請だろうと甘く見ていたのですが結構苦労したのでブログに書いて残しておきます。
三行まとめ:
- 補正依頼はしっかりと読んで再提出をする事
- 適合確認書に注意
- 電子申請・届出システム Liteに問題がありすぎる
申請のやり取り
7月に申請をしてから通知が来るのは約2週間、自分が2週間くらいその後の補正を出さなかったりで間が空いてしまった期間もあったのですが、トータルで4ヶ月も時間をかけてしまいました。その間は無線機の電源を入れてはウオッチするのみで寂しい日々が続く。
まず、履歴を見ていただいてもわかるのですが、2回目と3回目の提出は再提出で出していません。自分のメモを頼りに新規に申請を出していました。これって受け取る側からすると過去の履歴も見えないから多分良くなかったんだと思います。毎回申請後にデータは保存していたのですがそれを使わずに新規でやるのは良くないと途中で気づいて、4回目以降は再提出、つまり補正依頼された元の申請データを読み込んで再提出をしています。補正依頼が来たら提出時に保存したデータを使って再提出するべし。
申請時の注意点
システム上のアカウントに登録されている住所変更
まず申請手続きに入る前にやるべき事があり、一発目でこの点について指摘がありました。それは電子申請・届出システム Lite(以下、電子申請システム)上の住所変更をする必要があります。電子申請システムの「その他機能」から「ユーザ情報変更」に進み登録されている住所を引越先の住所に書き換える事を最初にやります。この修正は即時反映するので、そのまま局免の変更申請に進めます。最初に電子申請システム上の住所変更を先に済ませておくのがポイント。
申請する際の注意点
「変更申請(届出)・訂正申請」の「事項書及び工事設計書」を記載する際に色々と注意点があります。ここ以外は比較的わかりやすいので詳細は省きます。
- 変更する欄の番号:
- 4 住所、5 指名又は名称及び代表者指名 → チェック
- 10 無線設備の設置場所又は設置場所 → チェック
- 12 電波の型式並びに希望する周波数及び空中線電力 → 必須項目なのでチェック
- 15 工事設計書 → 50Wを超える場合はチェック
- 4 住所:
- 申請者情報から自動入力を押す
- この自動入力の元となるのが上記システム上のアカウントに紐づく住所
- 申請者情報から自動入力を押す
- 10 無線設備の設置場所又は常置場所
- 申請者情報から自動入力を押す
- 12 電波の型式並びに希望する周波数及び空中線電力
- 指定可能な全ての電波の型式、周波数及び空中線電力 → チェック
- 15 工事設計書
- 送信空中線の型式:ダイポールや単一などを選択
- 周波数測定装置の有無:無線機についているのであれば「有(施行規則第11条の3第7号の装置)」
- 添付図面:チェック不要
- その他の工事設計:電波法第3章に規定する条件に合致する→チェック
- 添付書類:簡易な適合確認書.docx
簡易な適合確認書
確認書はこちら:https://www.tele.soumu.go.jp/j/others/amateur/confirmation/safety/
簡易な適合確認プログラムというExcelファイルもあるので詳しく計算したい人はそっちを使うと良いかと。
簡易な適合確認書の1と3ページ目は必要な事項を記載し確認事項にチェックをするのみ。大事なのは2ページ目。ここの「50Wを超え100W以下」(自分は100W機を所有)の列を見るとわかるのですが、52MHzだと発射源から人が通るような所まで最低5.2mは離れている必要があります。自分の場合、地上高10mでそこから2mの人を想定すると高さ8m、隣の空き地から2m横に離れている場所にアンテナの給電ポイントがあるので、sqrt(8^2 + 2^2)で8mちょい。この計算を元に以下の様に記載。
免許を申請した時は工事設計書が必要なかったんですけどね。変更時にこれが求められるとは全く想像していませんでした。2023年制度改正(ですかね?)に伴う申請の変更らしいです。(Twitterで指摘をしていただいJS2GGDさんに感謝)適合確認をして添付書類を提出する必要がある。
電子申請システムには沢山の改善余地あり
自分は学生時代から30年以上インターネットを使っており、初めての職場から現在に至るまでずっとネットサービスのエンジニアをやってます。総務省の人も頑張ってこのシステムを作ってくれたんだと思うのですが、これは典型的なDX失敗例と言ってもおかしくないです。
一番の問題はこのシステムが紙ベースの申請書をそのままオンライン化した所だと思います。例えば住所変更なのであれば電子申請システムで免許の番号を入力した時点でアカウントと紐づいている免許の番号かを確認し、既存データをユーザに表示してからどこを修正するのかユーザにわかりやすく入力してもらう事が可能です。補正依頼も同様です。ユーザにデータを保存させないで補正依頼から直接過去申請データを読み込んで再提出する仕組みの方がユーザにとっても補正提出をやりやすくなります。現状の電子申請システムは既存データを読み込まないで、紙でやる様に修正申請書を作らせているのでユーザが自らメモった記録や保存した過去のデータを頼りに修正申請書を作るのでミスが多発しているはずです。
辛口コメントになっていますが、総務省側の事情もなんとなく理解できます。システム改修の予算がない、裏で管理しているシステムが化石みたいなシステム、法令に合わせているとシステムを変更するのが非常に困難、などなど。沢山の課題があって改善が難しいのかと思います。自分が担当者であれば問い合わせが多い点や補正依頼が多発する申請を中心に少しづつ改善していくのが良いかと思います。あとはすぐにできる事としてヘルプをもっと充実させると良いかと。どうやって電子申請システムを使うというマニュアル等は充実しているのですが、実際に住所変更をする際の注意点をもう少し詳しくヘルプに記載されていれば補正依頼の際にヘルプページへのリンクを送るだけでやり取りを減らす事が可能かと。電子申請システムの今後の改善に期待しています。
まとめ
引越しに伴って住所が変わった際に多くのサービス(電気・ガス・インターネット・銀行など)はWeb上で比較的簡単に住所変更ができるような世の中になりました。アマチュア無線の局免も同様にWeb上で変更する事は可能ですが、法令遵守の為にもかなり注意して申請をする必要があります。何だかんだで手間のかかった手続きでしたが、適合確認なども含めて色々と学べたので結果ヨシかと。ただ、同じ様に住所変更で悩む方がこのエントリーを参考にしていただけると幸いです。de JK1CGB
訂正
- 2023/11/23:固定局は空中線電力に関係なく適合確認が必要なので修正しました。Thanks to JS2GGD